競合など24社をAIに毎週巡回させている話:約半年、止まっていたことに気づかなかった
競合サービスのサイトをAIが毎週見て回り、変化をレポートにする仕組みが、2026年3月末から9月末まで止まっていました。原因と、気づけなかった理由、そこから学んだことを正直に書きます。
当社(GeneL)では、競合サービスのWebサイトをAIが毎週見て回り、前回からの変化をレポートにしてチャットへ届ける仕組みを動かしています。このサイトでも、自社運用の例として紹介しているものです。
ところが、この仕組みは 2026年3月30日を最後に、9月27日に直すまで約半年止まっていました。しかも、その間だれも気づいていませんでした。
うまくいった話より、こちらのほうが御社の参考になると考え、何が起きたのかをそのまま書きます。
どんな仕組みか
対象は、当社グループが提供しているEC・Webマーケティング向けのサービス3つの、それぞれの競合サービス合わせて18社と、関連する主要なECカート6社です。あわせて24社に、EC業界のニュースサイト1件を加えて見回っています。
毎週決まった時間に、次の順で動きます。
- 各社の公式サイトを取得し、文章だけを取り出す
- AIが、サービスの概要(機能・料金・お知らせ)を要約する
- 前回の内容と比べ、変化があったところだけをAIが要約する
- 新しい競合サービスが出ていないか、業界全体の流れはどうかを、AIがまとめる
- 当社のサービスへの改善のヒントを添え、PDFのレポートにしてチャットへ送る
作ったのは2026年3月です。それまでは手が回らず、競合の確認は定期的にはできていませんでした。「どの変化に手を打つか」を決めるのは人で、AIは見回りと要約を担当します。
何が起きたのか
原因は、とても地味なものでした。
2026年4月4日、社内のプログラムを整理して、フォルダ分けをし直しました。その際、このプログラムが設定ファイルを探しに行く場所が、1階層ずれてしまいました。設定が読めないので、次の週から毎回、起動した直後に止まるようになりました。
失敗の記録は、プログラムを動かしているパソコンの中のログファイルに残っていました。数えると、25週続けて失敗していました。ただ、その記録はだれにも届いていませんでした。
さらに、直す過程でもう1つ問題が見つかりました。チャットへ送るための鍵も、ずれた場所の設定から読んでいたため、場所だけ直しても最後の送信で失敗する状態でした。あわせて、見回り先の1社でお知らせのページが移転しており、取得できなくなっていたことも分かりました。
気づいたきっかけは、このサイトに自社運用の例として載せる内容を確かめていたことです。「毎週巡回している」と書く前に動いていることを確かめたところ、止まっていることが分かりました。直して、送信まで届くことを確認してから掲載しています。
なぜ、半年も気づけなかったのか
振り返ると、理由は3つありました。
- 「届かない」は、目に入らない:毎週レポートが届いているときは、届くことが当たり前になります。届かなくなっても、届かないこと自体はだれの画面にも表示されません
- 失敗の知らせが、人のいる場所に来なかった:失敗はログには残っていましたが、チャットなど人が見る場所へ知らせる作りになっていませんでした
- 変更の影響を、定期処理の側から確かめていなかった:フォルダの整理は「整理」として終わり、その影響でどの定期処理が止まるかまでは確かめていませんでした
当社のメモには、実行する曜日が古いまま残っていたものもありました。動いている仕組みについて「だれが、いつ、何で確かめるのか」が決まっていなかった、ということだと受け止めています。
この件から学んだこと
AIに定期的な仕事を任せるとき、私たちが大事だと考えるようになったのは次の3点です。
- 止まったら、人が見る場所に知らせる:失敗の知らせは、ログではなく、ふだん使っているチャットに届ける
- 「来るはずのものが来ない」を見張る:失敗の知らせだけでは、そもそも動いていない場合を拾えません。決まった時刻までに結果が出ていなければ知らせる、という見張りが要ります
- 外に向けて書いていることは、動いている証拠と結びつける:このサイトに「毎週巡回」と書いている以上、止まればその記述は事実でなくなります
AIに仕事を任せると、人はその仕事を意識しなくなります。それ自体が任せる目的なので、悪いことではありません。ただ、意識しなくてよい状態と、だれも見ていない状態は違います。正直に言えば、当社でもすべての定期処理にこの見張りが入っているわけではありません。御社の業務で仕組みを作る際は、最初からこの見張りを設計に含めます。
2026年10月12日時点で、競合の見回りは毎週動いています。日付と回数は、当社の実行記録と変更記録(2026年3月〜10月)にもとづきます。競合各社の名前は記載していません。
