属AI化とは:「属人化」の反対から考える、AIへの仕事の任せ方

属AI化とは、くり返し作業をAIに「属させ」、人は判断と例外だけに集中する状態のことです。属人化の何が困るのかから出発して、当社の運用例と、始めるときの手順、落とし穴をご紹介します。

文:株式会社GeneL 代表 小松 嵩明

当社では「属AI化(ぞくエーアイか)」という言葉を使っています。属人化の反対で、くり返し作業をAIに「属させ」、人は判断と例外だけに集中する状態のことです。

聞き慣れない言葉だと思います。この記事では、属人化の何が困るのかから始めて、属AI化とはどういう状態か、当社の業務ではどうなっているか、始めるときに何に気をつけるかを順にご説明します。

属人化の、何が困るのか

属人化とは、ある仕事のやり方が特定の人の頭の中にしかなく、その人がいないと回らない状態です。中小企業では珍しいことではありません。むしろ、少ない人数で回すために、自然とそうなっていきます。

困るのは、たとえば次のような場面です。

属人化を解く方法として、これまでは「手順書を作る」「人を増やして分担する」が中心でした。どちらも大切ですが、手順書は読まれなくなりがちで、人を増やすのは簡単ではありません。

属AI化:作業はAIに、判断は人に

属AI化は、仕事を「くり返しの作業」と「判断」に分けて、作業の側をAIに任せる考え方です。

ポイントは、人の仕事をなくすのではなく、人が担う部分を判断と例外に絞ることです。決まった手順で処理できるものはAIが毎回同じように処理し、決まりに当てはまらないもの、迷うもの、責任を伴う判断だけを人に回します。

こうすると、次のような変化が起きます。

当社の業務では、こうなっています

当社(GeneL)の業務での例をいくつか挙げます。どれも「AIが下ごしらえ、人が判断」の形です。

当社の秘書AI「軍師」には、こうした業務や開発の作業手順書が、2026年10月時点で38本入っています。担当者の頭の中にあった手順を、AIが読んで実行できる形で書き出したものです。

属AI化の落とし穴

属AI化にも、気をつけるべき点があります。当社自身がつまずいたことでもあります。

仕組みそのものが「属人化」する

AIの仕組みを作った人しか中身を分からない、という状態になると、今度はその人に属人化します。当社では、競合サイトを毎週見回る仕組みが、社内のプログラム整理の影響で約半年止まっていたのに、だれも気づかなかったことがありました(詳しい記事)。止まったときに人が気づける見張りまで含めて、属AI化だと考えています。

例外の決め方があいまいだと、AIはもっともらしく間違える

AIは、境目のあいまいなものほど「それらしい」答えを出します。どこからを例外として人に回すのか、AIの自信が低いときはどうするのかを、最初に決めておく必要があります。

数字の計算まで任せない

AIは文章を作るのは得意ですが、計算を間違えることがあります。数字はプログラムで確定させ、AIには説明だけを任せるのが安全です(AIは数字を作らない)。

始めるときの4つの手順

最後に、属AI化を始めるときの手順をまとめます。

  1. くり返している作業を書き出す:毎日・毎週・毎月、同じ手順で行っている作業を並べる
  2. 「作業」と「判断」に分ける:その作業の中で、人が考えて決めている部分はどこかを見極める
  3. 間違えても気づける作業から任せる:最初は、結果を人が確認できる下書きや集計から始める
  4. 止まったら気づける仕組みを入れる:任せた作業が動いていることを、人が見る場所で確かめられるようにする

属AI化は、一度にすべてを置き換える話ではありません。1つの作業から始めて、AIに任せる範囲を少しずつ広げていくものです。新しく入った社員に仕事を覚えてもらうのと、よく似ています。

この記事の運用例は、当社(GeneL)とグループでのものです。社外への導入実績ではありません。

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